
一般内科
一般内科
「頭痛」はきわめて一般的な臨床症状ですが、発症の形式により迅速な診断が必要か、丁寧な診断が必要かに分かれます。
発症形式が突然であり激しい頭痛の場合、緊急の対応かつ迅速な診断が必要であるため、直ぐに高次病院を受診するようにします。
二次性頭痛:くも膜下出血・脳梗塞・脳出血・髄膜炎・脳炎・脳動脈解離・脳腫瘍など
発症形式が慢性の場合は、頭痛の性状で診断を進めていきます。
一次性頭痛:片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛・薬剤性頭痛など
片頭痛:主に頭の片側に脈打つような拍動性の痛みがおこる
緊張型頭痛:頭の両側から肩にかけて鈍い締め付け感や、非拍動性の痛みがおこる
群発頭痛(三叉神経痛・自律神経頭痛):一側の眼窩部から側頭部に短時間(5-180分間)持続する重度の頭痛発作が1日数回おこる
薬剤性頭痛(薬剤使用過多による頭痛):以前から一次性頭痛をもつ患者さんにおいて、頭痛が1か月に15日以上存在し、頭痛治療薬を3か月以上定期的に乱用しておこる
本邦の慢性頭痛は、約4000万人いると推定され、そのうち約840万人が片頭痛であると推定されています。片頭痛患者さんの約75%が頭痛によって日常生活に支障を生じています。
頭痛の診断にあたり。まずは画像などにて二次性頭痛を否定することが必要ですが、その後は正しい知識をもって適切に治療していくことが大事です。慢性頭痛を持っている患者さんは、非常につらい症状であるにもかかわらず、周囲からは理解されない、怠けていると思われるなどのつらい状況を経験することもしばしばです。
是非、慢性の頭痛を感じることがある方は一度ご相談ください。
咳は、気道内に貯留した分泌物や異物を気道外に排除するための生体の防御反応です。気道の表面に刺激を感知する受容体というものが存在し、そこに刺激が加わり、脳と神経を介して咳が発生する仕組みです。
咳は、喀痰を伴う湿性咳嗽と乾いた咳の乾性咳嗽に分類されます。また、持続期間により、3週間未満の急性咳嗽、3週間以上8週間未満の遷延性咳嗽、8週間以上の慢性咳嗽に分類されます。
持続期間の短い咳の場合は感染性の咳嗽が原因として多く、持続期間が長い咳ほど感染性以外の原因による咳嗽が多くなります。
遷延性咳嗽、慢性咳嗽の場合
喀痰を伴う場合は、慢性副鼻腔炎や気管支拡張症などを含め副鼻腔気管支症候群を考えます。
喀痰を伴わない場合は、咳喘息、アトピー性咳嗽、胃食道逆流症、感染後咳嗽などが頻度の高い疾患となります。
本邦においては、慢性咳嗽の患者さんは250-350万人いると推定されていますが、その約半数は医師への相談はしていないと推測されています。慢性咳嗽は体面、社会面、精神面への影響が大きく負のインパクトが強いです。また、治療や原因についてわからないことが多いために不安も多い疾患となります。
当院では詳細な問診、聴診、胸部画像や肺機能検査、血液検査などにて適切な診断、治療を心がけています。上記のような心配や症状が認められる方は、是非当院にご相談ください。
睡眠、覚醒障害とは、睡眠の異常によってさまざまな認知、社会機能障害および生活の質の低下が生じる病態の総称です。現在およそ70種類以上の障害があるが、その中に睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群、不眠症のような日常診療でしばしば遭遇する疾患も多いです。
症状としては、不眠症状、過眠症状、睡眠時間帯の異常、睡眠中の異常現象などがあります。具体的には入眠困難、中途覚醒、いびき、寝だめ、過眠症状の持続、睡眠時間帯のズレ、睡眠中の異常行動、睡眠中の呼吸停止などがあります。
診断には、各疾患ごとの詳細な問診がだいじになります。睡眠の不安がある方は、一度ご相談ください。
日常生活における問題 | 睡眠不足 | 睡眠不足症候群、長時間睡眠者 |
睡眠の質の低下 | 睡眠に適さない音、光、温度、湿度、寝具など | |
睡眠に悪影響な薬剤 | アルコール、カフェイン、抗アレルギー薬、睡眠薬など | |
他の病気の一症状 | 身体疾患 | 脳血管疾患、頭部外傷、全身性炎症疾患、甲状腺機能低下症、貧血など |
精神疾患 | 不安、抑うつ気分、うつ病、気分障害、双極性障害など | |
睡眠障害 | 睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害など | |
概日リズム睡眠・覚醒障害 | 交代制勤務、睡眠・覚醒障害後退型など | |
過眠が主たる症状 | 中枢性過眠症 | ナルコレプシー、特発性過眠症、反復性過眠症 |
腎臓には糸球体と呼ばれる細い血管の塊がたくさん存在し、体に必要なものは再吸収し、不要なものは濾過して排泄するフィルターの役割をしています。慢性腎臓病とは、その濾過装置の働きが徐々に低下していく病気です。まだ馴染みの少ない名前かもしれません。
病気の原因としては、高血圧や糖尿病などの生活習慣病にて動脈硬化などにより糸球体が徐々に傷害されることにより引き起こされます。
治療は、まず各生活習慣病の治療に加え、腎臓や心臓を保護する薬の服用、また塩分の制限や禁煙など含めた生活習慣の改善などが必要です。無治療のまま放置されると腎不全になり、将来的には透析治療が必要になってしまいます。腎臓が悪くなるのと同時に心臓も悪くなるために、心不全や心筋梗塞の発症リスクも増加します。
慢性腎臓病は初期のうちは目立った症状はなく、わからないまま悪化していくことから“サイレントキラー”と呼ばれています。そのためにも適切に腎臓の評価を行い、早期に発見し治療を行うことが重要です。
胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease ;GERD)とは、酸性の胃内容物が食道や口腔内に逆流し、胸焼けなどを呈し、内視鏡検査で粘膜障害を認める状態のことです。
逆流の原因としては、胃酸分泌の上昇や食道運動の低下なども関与していますが、下部食道括約筋圧の低下が主です。下部食道括約筋とは食道下部にある筋肉で、胃内容物の逆流防止に重要な役割を果たしている筋肉です。食道裂孔ヘルニア、大食、高脂肪食、加齢などで下部食道括約筋の圧が低下することにより、酸性の胃内容物が食道内に逆流し、逆流性食道炎が生じます
逆流性食道炎の代表的な症状は、以下のものが挙げられます。
「胸やけ」は、みぞおちのあたりから胸にかけて、焼けるような、あるいは熱っぽい、不快な感覚がある症状です。まるで、胸の中に小さな火種があるように感じる人もいれば、締め付けられるような感覚を覚える人もいます。症状の感じ方は人それぞれです。
「呑酸」は、胃酸が食道に逆流してきて、口の中が酸っぱくなる症状です。時に、胃液や食べたものが口まで上がってくることもあります。
「げっぷ」は、胃の中の空気が口から出る現象で、逆流性食道炎の場合、胃酸や食べ物が一緒に逆流してくることがあります。
これらの症状は、食後や前かがみになった時、あるいは横になった時に強くなる傾向があります。
逆流性食道炎は、食道以外の様々な症状を引き起こすことがあります。
具体的には、以下のものがあります。
逆流した胃酸が気管や喉を刺激することで、これらの症状が出現します。また、逆流性食道炎によって、胸の痛みや違和感、喉の異物感、さらに、耳の痛み、鼻詰まりといった症状が出ることもあります。
これらの症状は、逆流性食道炎以外の病気でも起こり得るため、見逃さずに医療機関を受診し、正しい診断を受けることが重要です。
まずは、症状についての詳細な問診を行います。上記のような症状などを確認していきます。
逆流性食道炎の診断には、胃カメラ検査が有効です。胃カメラ検査は、正式には「上部消化管内視鏡検査」と呼ばれ、口または鼻から内視鏡を挿入し、食道、胃、十二指腸の粘膜の状態を観察する検査です。食道の粘膜に炎症やびらん(ただれ:粘膜が浅く欠損した状態)が見られる場合、逆流性食道炎と診断されます。胃カメラ検査では、炎症の程度を詳しく確認することができ、逆流性食道炎の重症度を評価する上でも重要な検査です。
薬物療法は、逆流性食道炎の治療における中心的な役割を担っています。胃酸の分泌を抑えたり中和したりすることで、食道の炎症を鎮め、症状を和らげます。主な薬には、PPI、P-CAB、制酸剤などがあります。それぞれの薬の特徴を理解し、医師と相談しながら最適な薬を選択することが重要です。
機能性ディスペプシアとは、上部消化管内視鏡などにて胃に潰瘍や炎症などの器質的病変が認められないにもかかわらず、下記に示すような症状が継続する病気のことです。
食後の胃もたれ感や腹満感
みぞおちの灼熱感
嘔気 嘔吐 食欲不振 など
原因は、特定のものはなく、胃の運動機能異常や、内臓視覚過敏が引き起こされると考えられています。
上部消化管内視鏡(胃カメラ)や血液検査、ピロリ検査、腹部エコー検査や腹部CTなどにて症状を説明できる器質的病変を認めないことと、症状が直近3か月以上継続していることが必要です。
治療は、生活習慣+食事の改善や、内服では酸分泌抑制薬、消化管運動改善薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬などにて行います。また、漢方薬なども使用します。当院では上記内服薬に加え漢方薬の投与も行っておりますので是非ご相談ください。
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